分岐シナリオでわかる年金請求書の添付書類〜あの約束を忘れない~(4/5)

金 年金小説

※ 前回のシナリオで「3N『おまえと計画を練るのも面白いか』」を選んだ方は、4節には入りません。上段の4節本文は飛ばして、下段の「エンドシナリオに至るルート」をご覧ください。

※このシナリオはフィクションです。

 4 【オレ】44歳 【彼女】43歳

 日本映画界で最も権威ある賞の一つで、彼女は主演女優賞を受賞した。その授賞式に、オレもスポンサーの一人として参加することになった。

 授賞式後のパーティー会場の中で、いつの間にか二人きりにされていたオレと彼女は、人目を気にした話しぶりをやめていた。

「だからさ、金のあるオレが日本中に配るんだよ、直接。そうだなあ、予算としては1000万円……いや、それじゃあケチくさいな。最低1億円だ。手始めとしてだがね」

 彼女は興奮して語るオレのアイデアに、繊細な嘆息で感想を表現した。

「それはあまり、品がいい行為とは受け止められないんじゃない?」

「品だなんて、今さらオレに期待してる奴はいないだろう。それよりも、100万円をオレからポンと渡された相手の笑顔のほうが、オレには気になるね」

「う~ん。例えばね、同じ1億円を誰かのお役に立てるにしても、信頼できる基金とか団体とかに寄付をするってやり方もあるでしょ? 実際、貴方だって災害にあわれた地域にはそうやって寄付してるわよね?」

「いやあ、今度オレがやろうとしてることは、それとは違うんだな」

「あら、どういうこと?」

「第一に、団体を通した寄付は、どうしても中間コストがかかってしまう。そうした取りまとめがどうしたって必要な場合はあるが、基本的に不要なコストは削りたい。第二に、オレはオレの金を届ける相手の声を、直接聞きたい。欲しいのは、決算報告書のようなものじゃないんだ。SNSを通じてオレが金を配れば、その金のおかげで実現できたこと、あるいは受け取れなくてできなかった悔しさなんかが、直接オレの元に集まるだろう」

「へえ、それはちょっと、できるビジネスマンらしく聞こえるわね」

 彼女の理解と称賛を受けて、オレはますます調子にのって、アイデアの風呂敷を大きく広げた。

「ばらまく金の規模がそれなりに大きければ、ベーシックインカムのための実験になるかも知れない」

「ベーシックインカムの実験を、個人で?」

 彼女は驚いていた。オレが冗談を言っているのか疑い始めているが、オレは思いつきを勢いに任せて口にしながら、自分でその考え方にのめり込んでいった。

「ベーシックインカムは、技術の進歩で資本が富裕層に集中し、取り残された貧困層が拡大していくこの時代に、早急に検討すべき制度だ。富裕層だって、社会のバランスがこのまま不安定になっていくのを望ましく思ってるわけじゃない。実際、いくつかの国で地域的に、ベーシックインカムの実験は始まっている。その規模の予算なら、オレにだって用意できる額だ。いい意味で、しがらみなく自由にばらまけるしな」

 彼女と気持ちよく話していることで、あっという間に計画ののアウトラインが見えるようになった。

「わたしにお金のことはよくわからないけど、人の声を聞きたいなら、そんなふうにしなくても聞く方法はあるんじゃない? ベーシックインカムに関しては、何だが社会の仕組みがガラリと変わりそうで、怖い気がするわ」

 彼女はオレの考えを理解しつつも、世間一般から返ってきそうな意見を教えてくれる貴重な人物だ。

 お金配りをするにしても、SNSで希望者を募集する、というやり方は、確かに反感を買うだろう。

4Y「お金を配って反感を買うのなら、その反感をだって、オレは知りたいんだ」

4N「いいアイデアだと思ったんだがなあ、キミを怖がらせるならやめておくよ」

エンドシナリオに至るルート

 次回で最終回です。

 これまでの選択により、シナリオは下記のように5つに分岐します。

 これまでのシナリオで選択したルートを振り返りつつ、次回のエンドシナリオにお進みください。

[ルート]1*→2*→3N:エンドA (「*」は「Y」でも「N」でも同じルート)

[ルート]1N→2*→3Y→4N:エンドB

[ルート]1Y→2Y→3Y→4N:エンドC

[ルート]1N→2*→3Y→4Y:エンドD, 1Y→2N→3Y→4Y:エンドD

[ルート]1Y→2Y→3Y→4Y:エンドE

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