[越境EC経験録] 1.退職してもなんとかなりそう

 50歳を前にして、大学卒業以来の職場を退職した。

 朝起きるのは辛いし、仕事中はずっと動悸が激しく緊張していたし、好きな仕事でもなかった。そして、なんといっても上司が嫌だった。

 僕にとって最後の上司は、自身の仕事よりも社内政治を四六時中考えて動く奇妙な人だった。俺は上層部の誰それを知っている、こんな優秀な部下から尊敬されていた、などと誇らしげに語っていた。

 しかし、僕が知る限り、その人を尊敬している部下は一人もいなかった。直属の部下では、僕も含めて嫌い寄りか軽蔑寄りが大半だっただろう。上層部の人たちとのつながりは知らないが、人脈をどうこう語るような組織でも立場でもないだろう、という白けた気持ちで嘘くさい自慢話を聞いていたものだ。

 そんな嫌な上司だったが、驚きながらその前の上司よりはましだった。その前の上司は、ヒステリックでパワハラがひどかった。最後の上司は自意識過剰でパワハラ気質だが、あれほどヒステリックではなかった。

 退職した今、嫌な上司からの命令に汲々とせずにいられる。眠たければ眠れる。異動で未経験の仕事に放り込まれる心配もない。

 お金の不安はある。十分な蓄えができたから退職したわけではない。次の仕事が決まったから退職したわけでもない。

 今の収入源は、海外の通販サイトを通じた日本の商品の販売だ。日に動いたり動かなかったりしていても、家賃程度は稼げている。

 大して頑張らなくても多少なりと稼げるなら、もうちょっと頑張って続けていけば、家賃に加えて食費分ぐらいは安定して稼げるのではないか、というささやかな希望をもっている。

 あとは貯蓄で生き延びて、将来の年金受給までつなげていければ、それでいいのではないか。

 年金制度は、前の職場を思い出して嫌いだし、世情に左右されて法改正を重ねてきたこれまでの経緯から不信感でいっぱいだが。できれば払い戻して欲しい。

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