健康保険の切り替え
退職すると、会社と保険料を折半して入っていた健康保険の資格は喪失する。
その後は、会社で入っていた健康保険を任意継続するか、国民健康保険に切り替えるかを選択する。
任意継続被保険者(※)
両者の給付内容に大きな違いはないが、健康保険組合の任意継続の場合、組合独自の付加給付やサービスが受けられることがある。
任意継続の保険料は、会社と折半していた金額が全額自己負担となる。
ただし、保険料計算の元になる標準報酬月額(外部リンクへ)は、任意継続では30万円が上限になる。
また、任意継続では国民健康保険にはない扶養の制度がある。
年収が130万円未満等の扶養の条件(外部リンクへ)を満たす家族がいれば、任意継続の扶養に入ることで、保険料の追加負担なく健康保険に加入できる。
(※詳細の説明は外部リンクへ)
国民健康保険(※)
一方で、国民健康保険には扶養の制度がない。加入する世帯の人数と前年中の所得(退職所得を除く)により、4月~翌年3月の保険料が計算される。
ただし、納付困難な事情等がある場合、申請により保険料が減免される場合がある。
(※詳細の説明は外部リンクへ)
手続き期限
切り替え手続きの期限は、任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民健康保険は14日以内。
雇用保険の基本手当(失業給付)の手続き(※)
雇用保険に加入していた会社を退職した場合、一定の要件を満たしていれば、失業給付を受け取ることが出来る。
(※詳細の説明は外部リンクへ)
受給要件
失業給付を受け取るための要件(受給要件)は、積極的な就職の意思があり、かつ退職日以前2年間に、雇用保険に加入していた期間が通算して12か月以上あること。
ただし、退職の理由が倒産や解雇等であったり(特定受給資格者)、労働契約が更新されなかったり病気やケガ等のやむを得ない理由で退職した場合(特定理由離職者)は、上記の加入期間の条件が、退職日以前1年間に、通算して6か月以上加入していた場合でも可とされる。(『特定受給資格者』及び『特定理由離職者』の説明は外部リンクへ)
所定給付日数(※)
失業手当を受け取れる日数(所定給付日数)は、退職までに雇用保険に加入していた期間により決められる。
なお、退職の理由が倒産や解雇等に該当したり、労働契約が更新されない等のやむを得ない理由で退職した場合(2023年9月現在)、または障害者等の就職困難者に該当する場合は、所定給付日数が一定の範囲で延長される。
(詳細の説明は外部リンクへ)
基本手当日額
失業給付で受け取れる金額(基本手当日額)は、原則として離職した日の直前の6か月に支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)。計算の元となる賃金が低いほど、高い率で計算される。上限額あり。
受給期間
失業給付を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年間 。
そのため、退職して長期間手続きしないでいると、本来受け取れるはずだった失業給付が受け取れなくなることがある。
ただし、妊娠・出産・育児、病気やけがなどにより働くことができない場合は、申請により失業給付を受け取れる期間を延長できる。
国民年金への切り替え(※)
退職して厚生年金保険の資格を喪失したら、国民年金の加入手続きをする(20歳以上60歳未満の場合)。
(※詳細の説明は外部リンクへ)
配偶者の扶養に入る場合
配偶者が65歳未満で厚生年金保険に加入しており、その扶養に入る場合は、国民年金第3号被保険者になる。
手続きは、配偶者の会社を通じて行う。
国民年金第3号被保険者は、本人も配偶者も個別に保険料の負担をすることなく、国民年金保険料を納付したことになる。
配偶者の扶養に入らない場合
国民年金第3号被保険者にならない場合、国民年金第1号被保険者になる。
手続きは、住所地の市区役所または町村役場。
国民年金の保険料は、月額16,520円(令和5年度)。
まとめて前払い(前納)することで、割引が適用される制度もある。
また、月額400円の付加保険料を納付することにより、将来の老齢基礎年金の額を増額(付加保険料の納付が1カ月につき年額200円増額)する制度もある。
保険料免除・納付猶予制度(※)
保険料の免除制度もある。審査対象となるのは、本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までは前々年所得)。
全額免除の対象となった期間は、老齢基礎年金の額を計算する際に、保険料を2分の1(平成21年3月までの免除期間は3分の1)納付したものとされる(審査結果により一部免除の場合もあり。一部免除の割合に応じて、年金額への反映割合も異なる)。
失業した年の翌々年6月までは、失業等の証明書類を添付して免除申請することで、失業した人の所得が審査対象とされない。
免除された期間は、10年以内に保険料を後払い(追納)して老齢基礎年金の金額に反映させることが出来る。ただし、4月~翌年3月を年度として、追納対象期間が3年度以上前の分には追納する保険料に加算額が上乗せされる。
免除制度とは別に、学生が利用する学生納付特例制度、世帯主の所得が審査対象とならない納付猶予制度がある。これらの制度の対象となった期間は、保険料の納付が猶予されるが、老齢基礎年金の金額に反映されない。なお、免除制度と同様に追納が可能。
(※詳細の説明は外部リンクへ)
翌年の確定申告(※)
12月の給与が支払われる前に退職すると、会社で年末調整がされないため、多くの場合で給与から源泉徴収された所得税が納め過ぎになる。
退職した年に源泉徴収により納めすぎた税金は、翌年に確定申告をすることで、還付を受けることが出来る。
(※詳細の説明は外部リンクへ)
なお、会社からの給与にかかる所得税は源泉徴収により前払いしているが、住民税は前年所得に基づいて計算された金額を翌年の6月から後払いをする。退職により所得状況が急変した人は注意が必要。