失業給付と年金の両取り方法

失業給付と年金の両取り方法 年金給付

 65歳を目の前にして退職される方に、知っておいてほしいお話です。
 老齢厚生年金の受け取り開始年齢は、生年月日に応じて徐々に引き上げられていますが、令和4年1月現在、厚生年金保険に1年以上加入した方には、65歳より前から受け取る「特別支給の老齢厚生年金」があります。
 一方で、65歳より前に退職すると、退職前2年間の内に12ヶ月月以上雇用保険に加入していたことなどを条件に、求職活動期間に対して雇用保険の基本手当(以下、「失業給付」)が受け取れます。
 しかし、ハローワークで失業給付を受け取るための求職申込みをした場合、その翌月分から、失業給付をもらった月分の特別支給の老齢厚生年金は受け取れなくなります
 ただし、ここで注目するべきは、失業給付の条件が『65歳より前に退職』とある点です。
 つまり、65歳より前(65歳の誕生日の前々日まで)に退職していれば、失業給付は65歳以降でも受け取ることが出来るのです。
 そして、失業給付により受け取れなくなる老齢厚生年金は、65歳になる月分までの「特別支給の老齢厚生年金」のみです。
 65歳以降(65歳の誕生日が属する月の翌月分以降)の老齢厚生年金は、失業給付を受け取っていても、問題なく受け取ることが出来ます

 以上を踏まえて、失業給付と年金を両取り出来る手順は、以下の通りです。
①65歳になる誕生日の前々日までに退職
②65歳になる月以降に、ハローワークに求職の申込みをする

 ただし、注意点があります。
 失業給付がどれだけ受け取れるかは、退職前に雇用保険に加入していた期間や、退職理由や年齢などによっても変化します。
 例えば、雇用保険の加入が10年以上20年未満の、自己都合による退職の場合であれば、120日です。
 この受け取れる日数を「所定給付日数」といいます。
 しかし、失業給付は退職した日の翌日から1年間しか受け取ることはできません。
 
これを「受給期間」といい、受給期間の最後の日を「受給期間満了日」といいます。
 また、求職申込み日から失業給付を受け取る前には、通常、7日間の待期期間と、自己都合退職であれば2ヶ月間(または3ヶ月間)の給付制限期間が設けられます。
 つまり、求職申込み日から、待期期間と給付制限期間を経て、失業給付をもらい始めてから「受給期間満了日」までの日数が「所定給付日数」よりも少ないと、「所定給付日数」をもらいきる前に「受給期間満了日」が過ぎて、もらいそこねる失業給付が出ることになります。
 そうはならないように、退職を目前にしたら、ハローワーク退職予定日を伝えて、その場合の「所定給付日数」「給付制限期間」などを教えてもらい、「所定給付日数」をもらい切るまでには、遅くともいつまでに求職申込みをすればよいのかを確認しておきましょう。
 また、同時期に年金事務所にも相談して、求職申込み予定日を伝えて、「特別支給の老齢厚生年金」65歳以降の年金支給停止にならないことを確認しておくと安心です。

 

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