年金を受け取っている方が死亡した場合に必要な手続きについて解説します。
手続きをしておかないと、30万円以上を受け取り損ねるかもしれません。
亡くなった方の口座を閉めておけばいいと思っている方、必見です。
年金は死亡月まで発生する
年金は偶数月の15日に、その前2か月分が支払われます。
つまり、4月15日に支払われる年金なら、それは2月と3月の分ということです。
そして、年金を受け取る権利は、死亡した月分まで発生します。例えば4月10日死亡であれば、4月分までです。
4月10日が死亡日とすると、2~4月の3か月分が、本人に支払われなかった年金となります。
1か月の年金額が約10万円とすると、30万円です。
この金額は、死亡時点で生計同一関係のあった遺族が請求できます。
未支給年金の請求手続き
請求できる人
三親等以内の生計同一関係のあった親族で、↓の優先順位があります。
(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 (7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族(PDF 591KB)
用紙は↓です。
・未支給年金・未支払給付金請求書・死亡届(報告書)(PDF 2,646KB)
・未支給年金・未支払給付金請求書・死亡届(報告書)(記入例)(PDF 809KB)
(注)請求書と死亡届は、片面で印刷してください。
3ページの内容の一部が、4ページにも同じく記入が必要です。
「ねんきんダイヤル」などに希望すると、複写様式を送ってもらえます。
必要な添付書類
- 年金証書:死亡者の年金証書を、回収のため添付します。
年金証書が見つからなくても、「見つかりませんでした」などの事由に〇印を記入する欄があるので、それで大丈夫です。 - 戸籍謄(抄)本:死亡者と請求者の続柄を確認します。※死亡後に交付されたものが必要です。
謄本とは、戸籍に記載されている全員に関する証明で、抄本は、個人に関する証明です。
婚姻すると、戸籍は親と別になるので、子が請求者の場合は、請求者である子の戸籍抄本が必要になります(抄本は個人の証明ですが、親の氏名は記載されます)。
配偶者が請求者の場合は、戸籍謄本が必要です。 - 住民票(死亡者の除票と請求者の世帯全員分):死亡日と、死亡者と請求者の生計同一関係を確認します。※死亡後に交付されたものが必要です。
死亡者については除票、請求者については世帯全員のものが必要です。
なお、死亡者と請求者が同一世帯だった場合、世帯全員の住民票にその両者が記載されていれば、死亡者の除票と請求者の世帯全員分の住民票を兼ねます。 - また、請求者のマイナンバーを記載した場合、住民票の添付を省略することができます。ただし、窓口ならマイナンバーカード等の提示、郵送ならマイナンバーカードのコピー等の同封が必要です。詳しくは、「未支給年金・未支払給付金請求書および受給権者死亡届(報告書)」の1ページ目【個人番号(マイナンバー)で請求される場合】を参照してください。
- 生計同一申立書:死亡者と請求者が別居だった場合に、生計同一関係の確認をします。
・生計同一関係に関する申立書(遺族年金・未支給・死亡一時金)※ 配偶者または子が請求するとき(PDF 266KB)
・生計同一関係に関する申立書(遺族年金・未支給・死亡一時金)※ 配偶者・子以外が請求するとき(PDF 262KB)
※上記から印刷するに当たっては、必ず両面で印刷してください(第三者証明欄が片面にあるため)。
「経済的援助」や「音信・訪問」は定期的にその事実があればよく、程度までは問われません。
「第三者の証明欄」が大変だと思いますが、状況に応じて、入居していた施設や入院していた病院の事務の方に相談したり、顔見知りのご近所の方に一筆お願いすることになります。
なお、下記の書類で扶養の事実などが確認できれば、第三者の証明は不要です。
・生計同一関係証明書類等について(PDF 157KB) - 請求者の通帳(コピー):未支給年金を振り込むための請求書にの口座情報を確認します。
大抵の通帳は、表紙と見開き1ページ目をコピーしておくと、必要な情報があるはずです。
最後に
- 提出前の事前確認:上記を参考にしてもらえれば、いきなり書類をそろえて提出することも可能ですが、その前に、「ねんきんダイヤル」などで必要な手続きを確認することをお勧めします。
今回の記事では、遺族年金、寡婦年金、死亡一時金などの、別に説明が必要なケースを割愛しているからです。
「ねんきんダイヤル」では、基礎年金番号を確認することで、それら個別ケースに合わせた案内が受けられます。 - 提出先:年金事務所または街角の年金相談センターです。
- 提出後の問い合わせ:郵送で提出した場合でも、死亡者の方に「宙に浮いた記録」がある可能性が高い場合は、提出先の年金事務所から問い合わせがきます。
「宙に浮いた記録」が本人の記録と確認されれば、年金額が遡って訂正されて、その差額も「未支給年金」として遺族が受け取ることになります。
問い合わせがあったら、自分が知らない親の若い頃の職歴でも、親戚に確認するなどして回答するようにしましょう。
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