年金の保険料は毎年上がって、受け取る年金は毎年下がるの?
そうとは決まってないよ
どう決まってるの?
世間のモノの値段やお給料に合わせて、上がったり下がったりするんだよ
だけど、下がりやすくて上がりにくいルールもあるんだ
ちょっと何言ってるか分からない
順番に見ていこうか
国民年金保険料や厚生年金保険料は毎年上がって、年金額は毎年下がるもの、となんとなく思われる方は多いと思います。
実際のところ、保険料に関しては、国民年金も厚生年金も以前は段階的に毎年上がっていましたが、すでに決められた引き上げ期間は終わっています。
現在では、国民年金保険料は物価と賃金の変動率に応じて、毎年改定されることになっています。
厚生年金保険料率は、18.3%で固定になっています。
年金額に関しては、まずは物価と賃金の変動率どちらかに応じて改定されます。
原則は、新規裁定者(68歳到達年度前)は賃金の変動に合わせて年金額が改定され、既裁定者(68歳到達年度以後)は物価の変動に合わせて改定です。
しかし、賃金と物価の上昇と下落の組み合わせなどによって、新規裁定者も既裁定者も同じ改定をするルールがあります。
また、年金額には賃金や物価による改定に加えて、現役の被保険者(保険料を払う人)の減少と平均余命(年金を受け取る人)の伸びに応じた調整(マクロ経済スライド)もあります。
複雑なところもありますが、順番にご紹介します。
【この記事で解決したいお悩み】
- 令和3年度の保険料や年金額が知りたい
- 保険料や年金額の変動の仕組みが知りたい
国民年金保険料
令和3年度の国民年金保険料は16,610円(月額)です。
令和2年度の16,540円(月額)よりも、70円増えています。
計算方法は次の通りです。
・令和3度の国民年金保険料額=17,000円(固定)×0.977(※保険料改定率)
(※)保険料改定率=前年度保険料改定率(0.973)×「物価変動率(1.005)×実質賃金変動率(0.999)」
「物価変動率×実質変動率」による値を、「名目賃金変動率」といいます。
つまり、令和3年度の名目賃金変動率が1よりも大きくなるため、令和2年度よりも高い保険料額になっているのです。
なお、国民年金保険料額の端数処理は、5円未満切り捨て、5円以上10円未満が10円に切り上げです。
付加保険料は月額400円で固定です。
保険料は、まとめて前払い(前納)をすると割引になります。
賃金が下がった以上に物価が上がったから、保険料が上がったんだね
厚生年金保険料
厚生年金の保険料額は、標準報酬月額または標準賞与額に、保険料率をかけることで決まります。
厚生年金の保険料率は、段階的な引き上げ期間を経て、現在では18.3%に固定されています。
厚生年金保険料は事業主と被保険者で折半となるため、給与から源泉徴収される保険料額は、標準報酬月また標準賞与額に保険料率の半分(9.15%)をかけた金額になります。
なお、標準報酬月額は88,000円~650,000円(令和2年9月分から)の間の32等級で決まります。
標準賞与額は、1,000円未満の端数を切り捨てた額です。ただし、4月~翌年3月の累計額では573万円、 1 か月あたりでは150万円が上限です。
給料の上限が65万円、ボーナス1回の上限が150万円なんだね
厚生年金の保険料率は、いま固定なんだ
受け取る年金額
令和3年度の金額 | |
老齢基礎年金の満額 | 780,900円 |
障害基礎年金の1級 | 976,125円 |
障害基礎年金の2級 | 780,900円 |
遺族基礎年金 | 780,900円 |
令和3年度の老齢基礎年金の満額は780,900円(年額)です。
令和2年度の781,700円よりも、800円減額になりました。
計算方法は次の通りです。
・令和3度の老齢基礎年金額の満額=780,900円(固定)×1.000(※改定率)
(※)改定率=前年度改定率(1.001)×名目手取り賃金変動率(0.999)
50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満が100円に切り上げです。
名目手取り賃金変動率は、
前年の物価変動率(1.000)×2~4年度前の3年度平均の実質賃金変動率(0.999)×3年度前の可処分所得割合変化率(1.000)
によって計算されます。
ただし、上記の計算式は新規裁定者のもので、既裁定者の計算では「名目手取り賃金変動率」のところに「物価変動率」が入ります。
しかし、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、 既裁定者も新規裁定者と同じく名目手取り賃金変動率により改定されるというルールがあります。
令和3年度では、名目手取り賃金変動率がマイナス0.1%なので、物価変動率の0.0%を下回ります。
そのため、令和3年度では新規裁定者も既裁定者も、物価変動率(0.0%)を下回った名目手取り賃金変動率(マイナス0.1%)によって年金額が改定されています。
また、平成3年度のマクロ経済スライドによる調整率はマイナス0.1%でしたが、賃金や物価によりマイナス改定される場合には、この調整は行われないことになっています。
そのため、マクロスライド調整率のマイナス0.1%は、令和3年度では調整されず、翌年度以降に繰り越しとなっています。
なお、上記の賃金や物価の変動に応じた年金額の改定や、マクロ経済スライドによる調整の仕組みは、厚生年金の年金額の計算にも組み込まれています。
厚生年金の報酬比例部分では、過去の標準報酬月額や標準賞与額を現在の価値に直すための乗率(再評価率)に、賃金や物価による改定率をかけたり、上がる改定時にはマクロ経済スライドによる調整率をかけます。
老齢基礎年金に上乗せされる付加年金は、200円×付加保険料納付月数で固定です。
まとめ
年金額は、新規裁定者が賃金の変動により、また既裁定者が物価の変動により改定されますが、賃金の変動が物価の変動を下回る(マイナス方向に上回る)場合は、どちらも賃金の変動により改定されます。
また、上記の改定がマイナスになる場合、マクロ経済スライドは行われず、翌年度以降に持ち越しになります。
zzz
お姉ちゃん…
今回は仕方ないよね!
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