【障害年金請求のまとめ】

【障害年金請求のまとめ】 年金給付

 ご自身だけでなく、身の回りの方のためにも知っておきたい、障害年金の手続き方法。

 難しそうなイメージがありますが、多くの場合、2回か3回程度、年金事務所とやりとりすれば、手続きは完了できます。

 それでは、障害年金を受け取るための条件と、病院年金事務所とのやり取りの流れについて、簡単にまとめましたので、ご覧ください。

[障害年金を受け取るための条件]

 病気やけが(傷病)により障害状態になった場合に、障害年金を受け取れる可能性があります。

 障害年金を請求する制度は、その傷病について初めて病院に行った日(初診日)加入していた年金制度(国民年金、厚生年金保険、共済組合)てず。(20歳前又は日本在住の60歳以上65歳未満で年金未加入期間なら、国民年金で請求)

 障害年金を受け取るための条件には、下記の「障害の程度」と「保険料の納付要件」があります。

障害の程度

  • 国民年金(障害基礎年金)の場合、1級と2級のみ障害年金に該当します。
  • 厚生年金保険共済組合(障害厚生年金と障害共済年金)の場合、1級~3級が障害年金に該当し、4級相当では一時金の障害手当金があります。

 1級~3級と障害手当金に該当する障害の程度は、下記の通りです。

  • 1級日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度。
     つまり、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるもの。
  • 2級日常生活著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度。
     つまり、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの。
  • 3級労働著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度。
    • また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度。
  • 障害手当金「傷病が治ったもの」(症状が固定)であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度

 なお、障害の程度についてより詳細な内容は、「国 民 年 金 ・ 厚 生 年 金 保 険 障 害 認 定 基 準平成 29 年 12 月 1 日改正」(日本年金機構HPへ外部リンク)をご覧ください。

保険料の納付要件

 初診日の前日において、次のいずれかの条件を満たしていることが必要です。なお、20歳前に初診日がある場合(先天性を含む)は、納付要件は不要です

  •  初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付厚生年金保険もしくは共済組合加入を含む)または免除学生納付特例猶予含む)されていること。
  •  令和8年4月1日前までは、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
    (「令和8年4月1日まで」の期限は、その後も延長される可能性があります)

[請求時期]

  障害年金を請求する時期には、障害認定日による請求と、事後重症による請求があります。

障害認定日による請求

 初診日から1年6ヶ月経過した日か、それ以前に症状が固定した日の状態により、障害年金を請求します。この請求により障害年金が決定されると、障害認定日の翌月分から、障害年金を受け取れます。

 ただし、5年を経過した分の年金は、時効により受け取ることが出来ません。

 なお、20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合は、20歳の時点初診から1年6ヶ月経過した日(もしくはそれ以前に症状が固定した日)のいずれか遅い日が、障害認定日になります。

事後重症による請求

 障害認定日の状態では障害年金に該当しなくても、その後に悪化した現在の状態により、障害年金をすることができます。この請求により障害年金が決定されると、障害年金請求日の翌月分から、障害年金を受け取れます。

 こちらの請求をするのであれば、1ヶ月でも早く請求書の提出をした方が受け取る年金が多くなりますので、手続きを急ぐことになります。

[医師に相談]

 障害年金に該当する「障害の程度」は上記のような基準がありますが、ご自身の状態が障害年金に該当しそうな程度かどうかについて、まずは診療を受けている病院にご相談されることをお勧めします。

 また、障害の原因となった傷病について、初めて診療を受けた日付(初診日)も確認しておきましょう。

 初診日が現在の病院よりも前にある場合は、年金事務所で初めて相談する際に、ご自身の分かる範囲で初診日の大体の日付とともに、発病から現在までの経緯も説明できるようにして、初診日の証明の取り方を確認します。

[初回相談]

 年金事務所で障害年金の相談をするためには、電話で予約(日本年金機構HPへ外部リンク)を取ります。

 当日は1時間程度の時間で、障害年金の制度説明があり、お申し出の初診日を元に、納付要件の確認などを行います。

 また、障害年金請求書や診断書など、提出が必要な用紙の一式も渡されます。

 そして、初回の相談で話のメインになるのは、初診日についてです。

 初診日が現在の病院にある等で、確実な日付が分かっていれば、その初診日から1年6ヶ月経過した日それ以前に症状が固定した日を障害認定日として、障害認定日で請求するか事後重症で請求するかの話に進みます。

 初診日が現在の病院より前の病院にある場合は、次に「受診状況等証明書」という様式で、初診日のある病院から初診日の証明をもらうよう案内されます。

 この「受診状況等証明書」が、診療の記録が残っていない等でもらえないと、次の病院からの「受診状況等証明書」の中で最初の病院の初診日が確認できるかをみたり、障がい者手帳健康保険の給付記録お薬手帳病院の領収書など、初診日が推定できる資料を個別に集めることになります。

 この初診日の証明がれるかどうかにより、障害年金の請求の難易度が大きく左右されると思います。

[請求書提出]

 初診日の確認ができて、障害認定日による請求か事後重症による請求かを決めたら、必要書類をそろえて請求書の提出です。

 添付書類の主な注意点は、以下の通りです。

  •  障害認定日による請求診断書については、障害認定日以後3ヶ月以内の状態が記載されたものが必要です。(20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合は、障害認定日の前後3ヶ月以内のもの)
     また、障害認定日が請求日から1年以上前であれば、障害認定日以後3ヶ月以内のものと併せて、請求日以前3か月以内の状態が記載された診断書も必要です
  •  事後重症による請求の診断書については、請求日以前3ヶ月以内の状態が記載されたものが必要です。
  •  障害の原因となった傷病の発病から、現在までの経過を記載する、「病歴・就労状況等申立書」の記載が必要です。これは医師でなく、本人かその代理人が書くもので、A3用紙で両面あり、大変ですが、診断書など他の添付書類と矛盾しないよう、気を付けて書きましょう。
  •  戸籍謄本住民票所得証明書など、市役所でとる必要のある添付書類も状況に応じてありますが、戸籍謄本以外はマイナンバーを記載することで省略できる点は、老齢年金と同様(内部リンク)です。

[請求書提出後]

 年金請求書を提出後、3か月程度で、年金証書不支給決定通知書が届きます。

 年金証書が届いた場合、初回の年金の振り込みは、年金証書が届いた翌月か翌々月15日(土日祝であればその前日)です。

 年金の振り込みは、通常、偶数月にその前の2ヶ月分ですが、初回の振り込みでは、奇数月になることもあります。

 不支給決定通知書が届いた場合は、障害年金を受け取ることできませんが、その決定に不服があれば、3か月以内審査請求をすることができます。

[まとめ]

 障害認定日から時間が経過して障害年金を請求する場合、初診日の証明が取りづらくなったり5年の時効事後重症による請求では請求の翌月分から支給となる関係で、請求すれば遅れた分だけ年金が受け取れなくなってしまう恐れがあります。

 制度を知っておくことで、障害年金が請求できる時期にはできるだけ早く請求できるようにしておきましょう。

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