休職中で給料出ないはずなのに、会社から給与明細が送られてきた
え、どれどれ……
マイナスになってるでしょ?
ホントだ
給料は一部の手当だけ出てるけど、健康保険料と厚生年金保険料のほうが高いから、マイナスになってるね
このマイナス、どうすればいいの?
給料から天引きできない分、後払いしないといけないね
近いうちに、会社から請求が来るはずだよ
ヒエ〜
けがや病気による休職中で給与が出ない月についても、健康保険料や厚生年金保険料は変わらず発生します。
これら社会保険料は産休・育休中では免除になりますが、ケガや病気での休職では免除にならないので、区別して知っておきましょう。
健康保険料、厚生年金保険料
保険料支払いの仕組み
健康保険料と厚生年金保険料は、毎月、事業主と本人が折半して支払います。
本人負担分については、給与や賞与を会社が本人に支払う際、あらかじめ天引きされています。
そして、事業主負担分と合わせて、会社から健康保険組合(健康保険組合に加入の健康保険料)や年金事務所(協会けんぽに加入の健康保険料と厚生年金保険料)に納めます。
ちなみに、保険料の納付期限は翌月末です。
そのため、多くの会社では前月分の保険料を、当月支払いの給与から天引きしています。
休職中の保険料負担
ケガや病気による休職中であっても、健康保険料と厚生年金保険料は免除されず、事業主と本人ともに、休職前と同じく「標準報酬月額」(※)に応じた保険料の支払いが必要です。
しかし、多くの場合、休職中に給与はほとんど支払われないため、給与から天引きすべき本人負担分の保険料が不足します。
そこで、会社は本人負担分を一旦立て替え払いして、後に本人に返金を請求することになります。
会社がその立て替えた分を本人から返金してもらう時期や方法は、会社の就業規則やその人の状況に応じて様々です。
たとえば、休職が短期の見込みであれば、復職してからの給与から天引きしたり、あるいは退職予定であれば、退職金から天引きしたりとなることもあります。
(※)「標準報酬月額」は、通常、4.5.6月の3ヶ月間の平均額により、9月〜翌年8月までの分が決まります。
ただし、固定的な賃金に大きな変動があったり、会社に入ったばかりなど、状況に応じて別の決め方がされることもあります。
健康保険料の決まり方
健康保険料の金額は、標準報酬月額の割合に応じて決まります。
また、その割合は、健康保険組合ごと、協会けんぽなら都道府県ごとに、多少の違いがあります。
たとえば、東京都の協会けんぽなら、9.84%(40歳〜64歳なら11.64%)です(令和3年3月現在の保険料率。以下、同じ)。
40歳〜64歳が割高なのは、その年齢では介護保険料の1.80%が加わるためです。
本人負担分はこの割合の半分の4.92%(40歳〜64歳なら5.82%)です。
たとえば、40歳未満で標準報酬月額が30万円の方なら、1ヶ月分の健康保険料は14,760円になる計算です。
厚生年金保険料の決まり方
厚生年金保険料もまた、標準報酬月額の割合に応じて決まります。
そしてこちらでは、会社が厚生年金基金に加入している場合と加入していない場合で、保険料(基金部分は掛金)に多少の違いがあります。
健康保険料のように会社所在地の都道府県や本人の年齢による違いはありません。
厚生年金基金に加入していない会社の場合、保険料率は18.30%です。
本人負担分はこの割合の半分の9.15%です。
前段と同じたとえを使って、標準報酬月額が30万円の方なら、1ヶ月分の厚生年金保険料は27,450円になる計算です。
なお、厚生年金基金に加入している会社の場合は、年金事務所に納める保険料が一定の割合で免除されますが、厚生年金基金に対して、その免除された保険料と厚生年金基金独自の掛金を納めます。
お姉ちゃんの疑問”「標準報酬月額」はどうして変わらないの?”
保険料が免除されないのは分かったけど、給料がほとんどないのに、その「標準報酬月額」は変わらないの?
するどい質問だね!
さすがはお姉ちゃん!
え……そ、そうかな? (*´ω`*)
そうだよ!
まず、標準報酬月額は年に1回、4.5.6月のお給料の平均で9月からの1年分を決めるっていうのは話したけど、この手続きを「算定基礎届」っていうんだ。
だけど、年の途中でお給料が大きく上がったり下がったりした場合は、上がったり下がったりした月から3ヶ月分の平均で標準報酬月額を変える「月額変更届」っていうのがあるんだよ
お姉ちゃんの質問は、その制度を聞いてもいないのに、先取りしてるのさ!
でも、その「月額変更届」で、休職してるわたしの標準報酬月額は変わらないの?
そうなんだ
「月額変更届」を出すのは、お給料が大きく上がったり下がったりしたときなんだけど、休職を理由に給料が下がったりしても、この条件には当てはまらないとされているんだ
それに、4.5.6月に休職してたとしても、休職した月のお給料は「算定基礎届」から除かれるから、やっぱり標準報酬月額に休職は影響しないようになってるんだよ
……大丈夫? だまされてない?
大丈夫! だまされてないよ!
確かに、休職中は大変なときだから、少しでも保険料が低いほうがいいと思うけど、高い保険料でいたほうが、将来の年金額はその分高くなるんだよ
だったら、会社が半分もってくれるだけもうけものとも考えられるんじゃない?
将来の備えのためなら、仕方ないか
お姉ちゃん、けんじつ!
労働保険料は請求されない
健康保険料(40歳〜64歳は介護保険料含む)と厚生年金保険料を(狭義の)「社会保険料」というのに対し、雇用保険料と労災保険料を「労働保険料」いいます。
ちなみに、(狭義の)社会保険料と労働保険料を合わせると、(広義の)社会保険料となります。
さて、この「労働保険料」ですが、こちらは健康保険料と厚生年金保険料と違い、休職して給料がなければ請求されません。
それはどうしてか、簡単にだけご紹介します
雇用保険料
雇用保険料は、給与や賞与の実際に支払われた金額に対して、一定の割合で決まります。
つまり、休職により給与の支払いがなければ、雇用保険料はかからないし、休職中に一部の手当のみの支払いがあれば、その実際の支払い額から雇用保険料が計算されるので、支払われた給与以上の雇用保険料は発生しないということになります。
ちなみに、給与や賞与に対する保険料の割合は、業種によって違いがあります。
一般的な事業では、本人負担が3/1000、事業主負担が6/1000です(令和3年度について。以下、同じ)。
農林水産・清酒製造の事業では、 本人負担が4/1000、事業主負担が7/1000です。
そして、建設の事業では、 本人負担が4/1000、事業主負担が8/1000です。
労災保険料
労災保険料の話はもっと単純で、本人負担分がありません。
給与や賞与を実際に支払った金額に対して、一定の割合で全額、事業主が負担します。
なお、労災保険料の割合は、業種によって2.5/1000から88/1000までの範囲で決められています (令和3年度の率)。
まとめ
- 休職後のお金の動きは、できるだけ早く把握しましょう!
- 傷病手当金の手続きはお早めに!
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