給与以外の所得は20万円以下でも住民税申告必要→ふるさと納税のワンストップ特例不可

休職にまつわるお金の話
お姉ちゃん
お姉ちゃん

じゃあ、株の利益ふるさと納税のことで何を落ち込んでるか、聞こうか?

ボク
ボク

うん。株の利益は、20万円以下でも住民税の申告をしないといけないって話したでしょ?

お姉ちゃん
お姉ちゃん

聞いたね

ボク
ボク

実は、確定申告や住民税の申告をすると、ふるさと納税ワンストップ特例申請が無効になるから、ふるさと納税の金額も併せて申告しないと控除が受けられないんだ

お姉ちゃん
お姉ちゃん

そうなんだ。面倒だね

ボク
ボク

住民税の申告は、株の利益と生命保険料控除(前回記事へ内部リンク)のついでだからいいけど、問題は確定申告の方で……

お姉ちゃん
お姉ちゃん

あ、前回聞いたことだ

確定申告するなら、株の利益が20万円以下でも申告が必要ってヤツ?

ボク
ボク

さすがお姉ちゃん、その通りだよ!

所得税からふるさと納税の控除を受けるためには、確定申告をしないといけなくて、その場合、20万円以下の株の利益にも所得税がかかるんだ

お姉ちゃん
お姉ちゃん

な、なるほど……

 給与所得者が株取引などで利益を得た場合、年間20万円以下なら、確定申告不要です。

 ただし、住民税の申告は必要です。

 そして、ふるさと納税のワンストップ特例制度は、確定申告や住民税申告が必要な方には適用されません

 つまり、給与所得者が株取引で利益を得た場合、ふるさと納税による税金の控除は、確定申告や住民税申告に含めないと受けられないということです。

 ふるさと納税については「休職中の住民税とふるさと納税の注意点」(内部リンク)でも触れていますが、今回は株取引などによる利益(譲渡所得)との関係を絡めてご紹介します。

ふるさと納税による控除額の仕組み

 ふるさと納税により税金の控除が受けられる限度額は、総務省|ふるさと納税[ポータルサイト]の「税金の控除について」(総務省HPへ外部リンク)で解説されていますが、自力で計算するのは大変です。

 そこで、限度額の試算ができるサイトは色々ありますが、中でも「ふるさとチョイス」の「控除上限額シミュレーション」が正確だと思われるので、お勧めです。

ワンストップ特例制度かどうかで控除の仕組みが変わる

 ふるさと納税を限度額内で行った場合、その年間合計額から2,000円を差し引いた額が、所得税と住民税から(あるいは住民税のみから)控除されることになります。

 つまり、100,000円のふるさと納税をした場合、所得税と住民税に分けて(あるいは住民税のみから)98,000円減額されるのです。

 その税金の減額が、所得税と住民税で分けてされるのか、住民税のみからされるかは、ワンストップ特例制度を利用するかどうかで変わってきます。

ワンストップ特例申請の場合

 確定申告や住民税申告が不要な給与所得者で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であれば、ワンストップ特例制度が利用できます

 これは、各ふるさと納税先の自治体にワンストップ特例申請書を提出することで、確定申告を行わなくても、ふるさと納税による税額控除を受けられる制度です。

 この制度を利用すると、その税額控除は全額、住民税から行われます

寄附金控除の税申告の場合

 ワンストップ特例制度を利用しない場合、ふるさと納税による税金の控除は、所得税と住民税に分けて行われます

 その割合は所得税の税率により、所得税の税率分が所得税から控除され、残りが住民税から控除されます。

 所得税の税率は、その所得額に応じて5%~45%の間で段階的に決まります(令和4年現在)。

 例えば、所得税の税率が5%の場合なら、ふるさと納税による控除額の内、5%がふるさと納税を行った年の所得税から控除され(還付申告による所得税の還付)、残る95%は翌年度の住民税から控除されます(ふるさと納税した翌年に支払う住民税の減額

譲渡所得により住民税の申告が必要のため、ワンストップ特例申請は無効

 さて、それでは、弟くんが落ち込んでいる理由です。

 それは、ふるさと納税についてはワンストップ特例申請書を提出したのでヨシ! と考えていたのに、住民税の申告により、それは無効となってしまうためです。

 株取引により給与以外の所得を得たので、それが年間20万円以下でも、住民税の申告が必要となったのです。

 そのため、ふるさと納税による控除は、所得税住民税で分けて行われることになります。

 そして、所得税についてふるさと納税による寄付金控除を受けるためには、生命保険料控除(前回記事へ内部リンク)と同様に還付申告が必要となり、その際には20万円以下の給与以外の所得も併せて申告が必要となります。

影響額試算

 年末調整で生命保険料控除を申告しなかったことが悔やまれますが、今となってはどうする方がよりマシか、弟くんは計算しました。

 前提となる数字は、株取引による利益が10万円、年末調整で未申告の生命保険料控除額は8万円所得税の税率は5%は前回と同じです。

 今回は新たに、ふるさと納税した額の2万円(限度額内)も含めて計算します。

上場株式等の譲渡所得にかかる所定の税率は、所得税15%、住民税5%。復興特別所得税額は省略。給与所得は各種控除後も0にはならないことも前回と同じ)

①譲渡所得にかかる所得税額10万円✕0.15=  15,000円
②生命保険料控除により減額される
(マイナスとなる)所得税額
-8万円✕0.05= -4,000円
③寄付金控除により減額される
(マイナスとなる)所得税額
-(2万円-2,000円)✕0.05=-900円
[確定申告した場合の所得税額増減試算]

 つまり、②③の4900円分の還付を受けるつもりで還付申告をすることで、①の15,000円の所得税が課税されることになり、還付を受けるどころか、余計に10,100円の納税額が発生するのです。

お姉ちゃんのお言葉 ”所得税の税率が低くて良かった”

お姉ちゃん
お姉ちゃん

じゃあ、ふるさと納税で20,000円払って返礼品もらって、18,000円を税金で取り戻すつもりだったけど、900円は諦めるってことね?

ボク
ボク

そう。保険料控除による4,000円の減税額を併せても、譲渡所得による15,000円の増税額のほうが高く付くから

お姉ちゃん
お姉ちゃん

まあ、所得税の税率が低くてよかったよ

ボク
ボク

そうだね。ふるさと納税の控除額の控除額は95%は住民税で受けられるから

お姉ちゃん
お姉ちゃん

税金のこと、よく調べてくれたんだね

ボク
ボク

税務署に電話したら税理士さんと話せたし、市役所の人にもたくさん教えてもらったよ!

まとめ

ふるさと納税のワンストップ特例は、確定申告や住民税申告が必要な場合は利用できない

・ふるさと納税による税金の控除は、ワンストップ特例なら全額住民税から

 ワンストップ特例以外なら、所得税の税率分を所得税から控除、残りを住民税から控除

・株取引をして利益が出たら、20万円以下でも住民税の申告が必要のため、ワンストップ特例は利用できなくなる!




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