年金額回復の具体的事例の紹介

〜「父が娘と解決したい、まだまだこれからの年金記録問題」9(内部リンク)を聞いてた猫2匹〜

　社労士のお父さんは、もれていた年金記録が見つかれば、年金が1000万円増えることもある、と話していました。

　この金額は、日本年金機構が公表する資料にもあるので、大げさではありません。

「年金額回復の具体的事例」の取りまとめについて

　日本年金機構のホームページでは、年金記録のもれや誤りを訂正したことにより年金額が回復した具体的事例が公表されています。

「『年金額回復の具体的事例』の取りまとめについて -平成22年1月第5週分~平成22年7月第1週分-」(日本年金機構のホームページへ外部リンク)によると、平成22年の約半年間の集計で、増加年金額１位の事例では、1,375,000円から2,344,100円へと、年額で969,100円増額しています。

　ちなみに、リストの末尾の220位の事例では、1,634,100円から2,062,600円へと、428,500円の増額です。

　そして、平均余命などを前提に計算された、過去から将来に渡って受け取る年金の増加総額は、１位の事例で約2,710万円。220位の事例で約1,030万円です。

　それでは次に、年金をすでに受け取っている方に、もれていた年金記録が見つかった時の手続きと、その後の差額の支払われ方について、ご紹介します。

年金額仮計算書

　基礎年金番号からもれていた年金記録が見つかると、すでに年金を受け取っている方には、「年金額仮計算」という書類の提出を求められます。

　この書類には、もれていた年金記録を足した場合の、仮に計算した年金額が記載されています。

「年金額仮計算」により、年金記録と年金額の訂正を申し込むと、すでに受け取った年金と本来支払われるべきだった年金との差額が計算されて、支払われることになります。

　なお、まれに、もれていた年金が見つかることで、年金が減額になることがありますが、この場合の「年金額仮計算書」では、年金記録と年金額を訂正をしないよう申し込むこともできます。

年金時効特例法

　年金の支払いは、本来5年で時効により消滅します。

　そのため、例えば60歳から受け取る権利のあった年金を、遅れて70歳過ぎに初めて請求すると、その時点で5年以上経過した60歳〜65歳の年金は、受け取れないことになります。

　ですが、平成19年7月6日に「年金時効特例法」が施行されたことで、年金記録の訂正による年金の増額分は、5年以上前も含めて、全期間の差額が支払われるようになりました。

　また、平成22年4月30日には「遅延加算金法」が施行されて、「年金時効特例法」により支払われる金額には、物価上昇分の加算もされるようになりました。

死亡者の年金記録

　もれていた年金記録が見つかると、将来に向けて年金額が増えるとともに、過去全ての期間の差額が支払われます。

　これは、お亡くなりになられた方についても同様です。

　お亡くなられた方の年金記録が見つかった場合、その差額は、お亡くなりになられた当時に生計同一だったご遺族の方（優先順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、死亡日が平成26年4月1日以後ならその他3親等内の親族）が、未支給年金として受け取れます。

　なお、 年金記録のもれが見つかった方の約9割を、以下の3つがパターンが占めるそうです。

1. 転職が多い
   ⇨若い頃に勤めていた記録が見つかった
2. 姓(名字)が変わったことがある
   ⇨結婚前の旧姓の記録が見つかった
3. 色々な名前の読み方がある。
   ⇨名前の読み方が間違って登録された記録が見つかった。

　ご自身だけでなく、お亡くなりになられたご親族の方の年金も含めて、年金記録にご心配のある方は、一度ご確認されることをお勧めします。

　特に、上の世代の方の年金は、今よりも年金記録の管理が整備されていなかったため、、記録がもれている可能性が若い世代の方よりも高いと思われます。

まとめ

　お亡くなりになった方の年金記録は、未支給年金を請求された方が確認できます。

　もし、未支給年金請求の手続きをとった方がお亡くなりになっていたら、他に生計同一だったご遺族の方がみえれば、その方が記録の確認をすることができます。

　ご自身以外の年金記録を確認するために必要な書類については、個別に年金事務所にお問い合わせを！